03-5858-6032
お問い合せメールフォーム被覆性に富み高分子樹脂の特性により優れた塗膜性能を保有しますので、耐食性・耐薬品性・耐候性に優れています。
一般的な溶剤塗装に比べ厚膜にしやすい方法で、溶剤塗装では複数回必要な厚膜化の塗装も粉体塗装なら1回で厚膜塗装が可能となります。
溶剤を含まない固形塗料の使用で、VOC(揮発性有機化合物)の排出が全くなく人にも地球環境にも優しい塗装方法です。
固形粒子の樹脂系塗料等を使用して粉体塗装をしますので、粉体塗装後の塗料を回収して再利用することが可能です。省資源と共にコストパフォーマンスも高い塗装方法です。
一般的な液体の塗料は、シンナーなどで希釈して使用しますが、粉体塗料は100%固形分の粉末状(固形の状態)のまま、使用されます。
この粉体塗料を用いた塗装法を「粉体塗装(パウダーコーティング)」と呼びます。
粉体塗装は、使用する塗料に溶剤が含まれないためVOC(揮発性有機化合物)の排出がありませんので、人体にも環境にも優しい塗装法と言われています。
主な適用例として水道資材、道路資材、建築資材、自動車部品、電気機器、金属家具などが挙げられ、社会全般で幅広く製品化されています。
粉体塗装には主に、流動浸漬塗装法、静電粉体塗装法があり、流動浸漬塗装法ではナイロン、ポリエチレン、変性飽和ポリエステルなどの熱可塑性樹脂が使用され、静電粉体塗装法ではポリエステルやエポキシなどの熱硬化性樹脂が一般的に塗料として用いられます。
また、溶射法と呼ばれる粉体塗装方法もあり、他の粉体塗装方法に比べ厚膜塗装が可能で、ナイロン系の塗料の使用で耐摩耗や絶縁目的の製品も作れます。
粉体塗料の一例
対象物 | 対象塗料 | 塗装膜厚 | 加工範囲 |
---|---|---|---|
水道管 ポンプ バルブ ローラー 土木資材(鋼管柱、形鋼)など |
ナイロン(ポリアミド) ポリエチレン 変性飽和ポリエステル 変性EVA |
200μm~1500μm | 最大1200Φ、長さ6m、重量1.0ton ※ナイロン(ポリアミド)の場合 ※その他、形状などで制約を受けます |
粉体塗料を入れた槽(流動槽)の底に多孔板を設け、その孔から圧縮した空気を送り込むと粉末が槽の中で流動します。
その中に加熱した被塗物を浸漬させると被塗物と接触した粉体塗料は溶けて被塗物に付着し、塗膜を形成します。
流動浸漬塗装で使用する熱可塑性樹脂は、加熱により樹脂が溶ける温度(融点)を超えると溶けて、冷却されると固化します。
この樹脂の加熱による溶融と冷却による固化は、何度でも繰り返すことができます。
流動浸漬塗装は、塗膜を厚くしやすい為、潮風による塩害環境や、水濡れする環境など高い防食性能が求められる際に採用されることが多い塗装方法です。
また、加熱された被塗物と塗料である粉体が接触した部分に塗膜を形成するので、パイプの場合などは、内面と外面を1度の浸漬塗装方法で同時に塗装することが可能です。
総合防食メーカー日鉄防食では、この特長を活用し水道管やポンプ、バルブなどの内面・外面の同時塗装をしています。
塗装可能なサイズは、予熱炉の大きさと流動槽の大きさに制限され、更に吊り下げる天井クレーンの耐荷重と被塗物の重量にも制限されます。
対象物 | 対象塗料 | 塗装膜厚 | 加工範囲 |
---|---|---|---|
標識柱 車止め スチールファニチャー など |
ポリエステル エポキシ |
40μm~1000μm ※上限は予熱静電塗装の場合 |
最大300×1000mm、長さ5.0m、重量30kg ※ポリエステル塗装の場合 |
静電粉体塗装機のスプレーガン(静電ガン)からのコロナ放電で発生する電気イオンにより粉体塗料粒子が帯電し、スプレーガンからの空気流および電場の作用でアースされた被塗物に到達し、静電引力により付着します。
その後、被塗物に付着した粉体を外部から加熱することにより塗膜を形成することができます。
静電粉体塗装法で使用する熱硬化性樹脂は、加熱により塗料中に含まれる成分が化学反応を起こし、硬い樹脂となります。
また、一度硬化した樹脂は再度加熱しても硬いままで、溶けることはありません。
厚膜仕様への対応として、あらかじめ予熱した被塗物に塗装する予熱静電塗装法もあります。
日鉄防食の静電粉体塗装は、コンベアラインで被塗物を縦吊りし、自動スプレーガンによる塗装を施します。
特に、標識柱など長さが数メートルあるパイプを連続で塗装する事を得意としております。
対象物 | 対象塗料 | 塗装膜厚 | 加工範囲 |
---|---|---|---|
ローラー(耐摩耗) 鉄道部材(絶縁) など |
ナイロン(ポリアミド) ポリエチレン |
500μm~5000μm | サイズなどはご相談ください |
溶射法はプロパンと酸素を燃焼させた炎の中やあるいは外周に粉体塗料を通過させ、溶融した粒子を被塗物に吹付ける方法です。
特長としては、流動浸漬塗装法、静電粉体塗装法の2つの塗装法に比べ、さらに厚膜に塗装ができます。
日鉄防食では、物流シーンなどで使用される様々なVローラーなど摩耗しやすい所に、溶射法によるナイロンの厚膜塗装を提供しています。
また、ナイロンなどの樹脂は電気を通しにくい(絶縁性が高い)性質があるため、鉄道用の部材を絶縁する目的で溶射法により厚膜塗装した製品が使われています。
粉体塗装用の塗料には各々特長がありますので、お客様の目的、用途、被塗物の材質や形状、使用される環境などにより、最適な塗料をご提案させていただきます。
表に、各塗料の特長や一般的な用途を記載しました。
表の中の表記は目安としての一例ですので、ここに記載されている用途以外にもお使いいただける可能性はあります。
まずは日鉄防食・市場開拓グループまでご相談ください。
塗料 | 塗装方法 | 特長 | 用途 |
---|---|---|---|
ナイロン(ポリアミド) | 流動浸漬塗装、溶射法 | 耐摩耗性、耐油性、耐衝撃性、耐熱性、密着性 | 配管、ポンプ、バルブ、自動車部品、ローラー、食洗器カゴ、ショッピングカート、土木資材、鉄道部材 |
変性飽和ポリエステル | 流動浸漬塗装 | 密着性、耐候性、耐食性、塗膜硬度、可とう性 | 土木・建設資材、鉄道部材、配管 |
変性EVA | 流動浸漬塗装 | 密着性、溶融加工性 | 建築用構造物、フェンス、バルブ継手、給水配管 |
特殊ポリエチレン(NTAC-3G) | 流動浸漬塗装 | 耐食性、耐候性、耐摩耗性、耐環境応力亀裂性、耐冷熱繰り返し性 | 道路資材(鋼製排水溝)、その他、適用製品探索中 |
ポリエステル | 静電粉体塗装 | 耐薬品性、耐候性、耐食性 | 家電製品、建材、外柵、重電、建設機械、農機具、自動車部品、道路資材 |
エポキシ(FBE) | 予熱静電塗装 | 密着性、耐熱性、電気絶縁性 | ハウジング、ブスバー、鋼管継手、バルブ |
ポリプロピレン、 エポキシポリエステル、 フッ素コーティング、その他 |
左記粉体塗料もしくはその他についてはご相談ください |
粉体塗装技術要覧 改訂第4版(日本パウダーコーティング協同組合 監修)より一部抜粋
03-5858-6032
道路用資材の鋼製排水溝に採用されています。
一般的な流動浸漬塗装用のポリエチレンは、ESCR性が悪いと言う短所がありました。
ESCRとは耐環境応力亀裂の事をいいます。
樹脂に力が加わっている状態で薬品や界面活性剤が触れた時、力が加わっていない状態に比べ、亀裂が入りやすくなります。
そこで、樹脂に力が加わった状態で薬品や界面活性剤に触れさせ、どの程度の時間で亀裂が入るかを見ることにより、耐薬品性の強度指標の1つとすることが出来ます。
NTAC-3Gはこの短所を克服するためにナノレベルで樹脂の構造を設計した結果、一般的な流動浸漬塗装用のポリエチレンより優れた性能を発揮します。
特に、耐食性、耐薬品性、耐冷熱繰り返し性、耐候性、耐摩耗性の機能が高くなり、過酷な設置環境での使用でも長寿命化できます。
NTAC-3G 粉体塗料
NTAC-3Gで塗装した鋼製排水溝
NTAC-3Gの透過型電子顕微鏡(TEM)写真
低密度ポリエチレンをベース樹脂とし、ゴム弾性のある熱可塑性エラストマー(TPE)を分散させ、さらに両者が強固に結合するように無水マレイン酸ポリエチレンを化学反応させた構造としました。
低密度ポリエチレンを海に例えると、分散している熱可塑性エラストマーが島の様に見える事から、海島(海相、島相)構造と呼ばれます。
熱可塑性エラストマーはゴム弾性があるのでひずみエネルギーを吸収し、低密度ポリエチレンのひずみエネルギーを緩和します。
また、無水マレイン酸ポリエチレンにより化学結合しているため、弾性や強度が増し薬品や界面活性剤液の浸透も抑制され耐性の強い塗装となります。
環境応力亀裂試験(ASTM D1693)
⇒耐環境応力亀裂性(ESCR)に優れる
試験後、カッターナイフでクロスカット疵部(きずぶ)を剥離させる(8ヶ所)
冷熱繰り返し性試験(JIS K5600-7-4 参照)
-60℃(3時間)~常温(3時間)~80℃(18時間)
⇒10サイクル後のクロスカット部からの塗膜剥離距離を測定
NTAC-3Gは剥離していない
⇒耐冷熱性に優れる
耐候促進試験(JIS B7753)
※NBS単位(旧アメリカ国立標準局)
NTAC-3Gはナイロンより紫外線による変色が起きにくい
⇒耐候性に優れる
塩水噴霧試験(JIS K5600-7-1)
NTAC-3Gはナイロンより剥離幅が小さい
⇒耐食性に優れる
耐食性をより高めて、塩粒子に曝される過酷な環境下での長寿命化を実現しました。
建替え頻度を減少させ、当初の美観を長く保ちます。
海に近い沿岸部の道路の路側柱等が早期に腐食してしまいお困りだった場所に採用され、高い耐食効果が高評を受けています。
現在、主に路側柱向けに展開しておりますが、他の部材への適用をご検討される場合はお気軽にお問い合せください。
海に近い沿岸部では、海風に含まれる塩分が構造物の表面に付着することで腐食が促進されます。
また、冬季に凍結防止剤(塩化カルシウム、塩化ナトリウム等)を散布する場所でも同様に塩分が付着し、腐食を促進させます。
そこで、塩分などの腐食因子に対するバリア性に優れた「特殊表面処理」を亜鉛メッキの上に施した後に粉体塗装をすることで従来品に比べて塩分などに対する防食性能を大幅に向上させました。
地際(じぎわ)部の耐食性を高め、高寿命化を実現しました。
建替え頻度を減少させ、当初の美観を長く保ちます。
現在、路側柱向けに展開しておりますが、お客様のご要望に応じて様々な建築資材や道路用資材などへの適用検討を承っておりますのでお気軽にご相談ください。
地際部とは、ポールなどを設置する際の地中と地上部の境界付近のことを呼びます。
その部分は、塩分や土砂の堆積、雨水の滞留、ペット尿などにより腐食しやすい箇所となります。ポールや標識柱の設置後、もしも地際部で腐食が起これば倒壊する恐れがあり、非常に危険と言えます。
地際部に腐食因子に耐性のあるバリア性に優れた「特殊表面処理」を亜鉛メッキの上に施し、さらに粉体塗料を厚膜で塗装(100μm)することで、従来品に比べ耐食性を大幅に向上させた製品を提供しています。
耐久性と耐候性に実績のある静電粉体塗装で作られた道路用の標識柱(TPL-Zポール)の表面塗膜に特殊加工処理で高屈折率のガラスビーズを固定し、夜間や照明のない場所などでも、車両のヘッドライトでよく光る反射性に優れた道路用標識支柱として開発しました。
現在、路側柱向けに製品化し販売展開しておりますが、再帰反射の特性を利用した製品の設置や商品化をご検討されているお客様はお気軽にお問い合せください。
ポリエステル塗膜の上に、特殊加工処理でガラスビーズを固定させています。
夜間など、郊外や山間部など照明の少ない箇所でも、車の前照灯の光がガラスビーズにより再帰反射(入射光線を光源の方向に反射すること)し、標識柱への視認性を向上させます。
ドライバーへ注意喚起し、安全対策に貢献しています。
日鉄防食は、交通事故0を願い様々な道路用の標識をはじめ各種道路用資材を社会に提供してきましたが、近年、夜間・山間地など明かりの少ない道路に於ける交通安全対策の必要性も高まっています。
当社の安全・安心な光るピカポールは、耐久性と耐候性に実績のある標識柱(TPL-Zポール)の表面塗膜に特殊加工処理で高屈折率のガラスビーズを固定し、夜間、車両のヘッドライトでよく光る反射性に優れた道路用標識支柱として開発しました。
実績のある標識柱(TPL-Zポール)に特殊加工、塗料系で初!
ピカポールは、大径から小径までサイズは自由自在。
ステンレスポール・アルミポールなどにも自由自在。
夜間、視認しづらい彩度の低い暗色系の支柱でも、ピカポールは高い反射性能を発揮しますので、安心して設置ができます。
意匠性を意識したブラウン色の採用でも設置状況を選ばず良好な視認性が得られます。
道路標識用支柱では、彩度の高い色彩も使用されています。
テストでは、夜間確認しづらいブラウン色を採用し、ピカポール(右)と通常のポール(左)との比較をしました。
100m離れた遠距離からでも容易に確認できることを実証しました。
撮影データ:ストロボ 3200W/S 1灯 ●シャッター速度 1/90 ●絞り 8固定 ●フィルム ISO 100
撮影場所:群馬県邑楽郡大泉町
道路の標識柱などに、不要なテープなどが貼りづらく、また貼った後でも剥がしやすくなる特殊コーティングを施して繁華街などでの貼り紙防止に効果をあげております。
現在、住宅街や繁華街の道路用標識柱向けに採用され製品化しておりますが、他の用途や部材への適用検討についてはお気軽にお問い合せください。
ステッカーなどが貼りにくい表面加工塗装がされています。
ビーズを固着して、ステッカーなどが貼付きにくいように表面に凹凸を設けたのち、貼紙が付着しづらい特殊コーティングを行っています。
ステッカーなどが貼りにくい表面加工塗装。ビーズを固着して、ステッカーなどが貼付きにくいように表面に凹凸を設けたのち、貼紙が付着しづらい特殊コーティングを行っています。
※さらに反射層を設けることで、弱い光にもより強く反射する(光る)=再帰反射率の高いピカポール仕様になります。
当社の従来塗装(ポリエステル粉体塗装)の柱は設置後すぐに貼紙(ステッカー)を貼られ美観を損なっていたが、特殊コーティング柱は設置後6ヶ月の定点チェックにおいて貼紙(ステッカー)無し。美観良し!
日鉄防食では、お客様のご要望に応じて最適な粉体塗装を提供しています。
粉体塗装は、多様な樹脂塗料と粉体塗装法の組合せで目的や用途に合わせた耐性を持った塗装加工した製品をご提供できます。
日鉄防食は大泉の粉体塗装専門工場で、長年の蓄積された経験と技術力を活かし、その製品化への実現のお手伝いやご相談を承ります。
お気軽にお電話またはお問い合せフォームにてご相談ください。
静電粉体塗装による標識柱の塗装
流動浸漬塗装によるパイプの塗装
大泉工場事務所
日鉄防食の大泉工場は1961年から半世紀以上にわたり、一貫して粉体塗装に取り組んできました。
これまで培ってきた技術や経験から、お客様にご満足いただける塗装と製品をこれからもご提供します。
日本列島の中心に位置した群馬県から、日本全国にご対応いたします。
1961年(昭和36年) 8月 | 流動浸漬法によるポリエチレン粉体塗装開始(電機メーカー向け冷蔵庫の網棚) |
1970年(昭和45年)12月 | 静電粉体塗装開始(標識柱) |
1982年(昭和57年) 1月 | 異形管等の粉体塗装(ナイロン)開始 |
1990年(平成 2年) 9月 | 自動流動浸漬ライン新設 |
1998年(平成10年) 9月 | 中尺及び長尺兼用ラインの新設 |
1999年(平成11年) 7月 | 溶射法による粉体塗装開始 |
2000年(平成12年) 4月 | ISO9001取得 |
2010年(平成22年) 4月 | 流動浸漬塗装法によるNTAC-3G粉体塗装開始 |
2014年(平成26年) 5月 | 流動浸漬塗装法による変性飽和ポリエステル粉体塗装開始 |
2018年(平成30年) 9月 | 第2大型ブラスト設備稼働開始 |
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